没入する美術は水底の世界の様だった

始まった当時に少し話題になったことは知っていたけど、なかなか足を運ぶ機会もなく。

immersive-museum.jp

 

中学は美術部、高校はデザイン科と言う芸術漬けの若年期を送ってきている身です。今でもたまに美術館とか展覧会みたいなのに行ったりする。基本的に美術・芸術分野への参加はソロ活民の癖に、今回は珍しく20年来の友達と行ってきた。はい、中学からの友達ですね。彼女がね、印象派がお好きなんですってよ。結論から言うととても面白かった。

 

端的に言うならこれはプロジェクションマッピングの映像作品に過ぎない。でかい場所を使って、壁四面と床に映像を投影しているだけ。見せ方も床に座って大きな壁を見上げる、と言う見方だった。多分、人によっては「インスタ映え」するスポットなんだろうな。私は撮りもしなかったのだけど。全エリア撮影可だったのにね。モネの睡蓮のシーンとか床にも睡蓮が映ったり葉っぱが流れてたりが見れて、水の底にいるみたいだねなんて話したり。美術作品ってこんなにキラキラするもんか…と言う気持ちで見てた。

 

言葉を選ばずに言うと「規模のデカさで圧倒するタイプの作品」ではあったと思う。内容に意味があったかと言われるとちょっと首を傾げるかな。印象派画家の作品を映像ベースで見せているだけだから内容の重さは無いかも。美術館で見るのと変わんない。

 

ただ、映像作品ならではの凄さもあったのは事実。
科学鑑定技術の中で「絵画の筆のタッチを識別する」と言う鑑定技法があるそうなのだけど、それを映像化して「筆のタッチ1つ1つを集合させて絵を完成させる」と言うシーンがあった。また、その応用で「どれが後から乗せられた絵の具なのか」が判別することにより、奥行きを再現しているシーンもあった。奥行きが再現されていたシーンは正直に言うと度肝を抜いた。だって、平面で見てたらその色が「こっち側」にあるなんて気付かなかったから。かがくのちからってすげー。

 

こう言うのを踏まえた上で実物を鑑賞すると、また見方が変わるのかもしれないなぁ、なんて思ったり。今までは主に色使いだとか形だとかを見ていたけど、奥行きが見えるようになるのかもしれない。立体を平面に落とすことはできても、平面を立体に捉えられるってすごいことなんだよ。うーん…美術館行きたくなってきた…。

 

美術・芸術への間口になるなら、こう言う映像作品もありだよね、と思っている。この機に美術分野が発展してくれたらいいね。最近ちょっとマナー悪い人もいたそうだけど、美術館はちゃんとルール守れば楽しいところだよ。
帰り道に友達と「富嶽三十六景とかで立体感出すのも面白いし、芦雪犬みたいに可愛いのとかでやっても面白そう」って話をしたので、ぜひ今度は浮世絵とかその辺でやってみてほしいなーって言う、届かぬリクエストを残しておこうと思う。